本と音とそれから語学、私ブログ。

自分の思いを一つ一つ紡いでいく。

Love or Like.

投稿七回目。

多くの方に読んでただいているようで

とてもうれしいです。

そして、この間の記事で

恋と愛の違いについて質問をしたところ

とある方から興味深い回答をいただきました。

というわけで、恐縮ではありますが

私なりの愛と恋の違い

本を紹介がてら語ろうかなと思います。

それでは今回もお付き合いのほどを

よろしくお願いいたします。

 

 以前、この話はFacebookでも

少し書いたのだが、

心臓が漫画のように飛び出すくらい

衝撃を受けた作品がある。

 

歓喜の国、心ときめく国、これらは

アメリカネムノキの別名。

またの名を、レインツリーと呼ぶ。

 

きっかけは一冊の本。

主人公のひとみと伸はこの本をきっかけに

メールでやり取りをするようになる。

だんだんとやり取りをするうちに

伸はひとみに直接、会ってみたくなる。

しかし、

ひとみには伸には会えない理由があった。

 

・・・重量オーバだったんですね。

『レインツリーの国』(有川浩

 

会いたがらないひとみを、伸はなんとか説得し

二人はデートをするのだが、

ひとみは静かな場所を好んだり、

映画は絶対に

字幕付きのものがいいと譲らない。

わがままな子やな・・・ようわかれへんわ。

伸はそう思いながら、

彼女とエレベーターに乗ろうとする。

しかし、

エレベーターには人がすでに多く乗っており

ひとみが乗ると

重量オーバーのブザーが鳴った。

 

しかし、ひとみはそこから動こうとしない。

次第に、乗っていた乗客の表情も

険しいものになっていく。

伸は思わず、ひとみの手をつかみ

すいませんと謝り、彼女を引っ張った。

 

おい、何ボサっとしてんねん。

自分の代わりに誰か降りろみたいな

みっともない真似すんなや!

 

しかし、この後、伸は知るのだ。

なぜ彼女が静かな場所を好み

字幕付きの映画に執着し、

エレベーターから降りようとしなかったのか。

 

彼は彼女の耳につけられていた

小さな機械を見つめていた。

 

 

耳が不自由だということを

伸には知られたくなかった。

それはきっとひとみにとって伸は

好きな人だったから。

 

ひとみは傷つきながらも、

今まで自分があきらめてきた

女の子としての願いを叶えていく。

今までは補聴器を隠すべく、

野暮ったくしていたヘアスタイル。

 

ひとみさん、髪切ってみいへん?

『レインツリーの国』(有川浩

 

伸からの言葉をきっかけに

勇気をだして、伸の母親が営む美容院へ。

今まで補聴器を隠すための

カーテンだった髪をバッサリと切り、

補聴器が見えるショートヘアに。

 

それまでは周りの目を気にして

自分の殻に閉じこもっていた。

自分らしくいられる場所。

それがレインツリーの国だったのだ。

 

しかし、その架空の国で出会った伸が

ひとみを歓喜の国にいざなってくれた。

障がいあっても

好きな人の声が、

機械を通してでしか聴けなくても

それでも伸は自分の隣にいてくれる。

 

私にとって恋と愛の違い。それは、

 

 

好きな人に弱みを見せられるかどうか

 

は相手に弱みを見せないように

覆い隠している状態。

は相手に自分の弱みを見せられる状態。

 

私がこのお話の中で最も印象的だった言葉。

それは、筆者のあとがきにあった。

 

私が書きたかったのは

「障害者の話」ではなく「恋の話」です。

ただ、ヒロインが聴覚のハンデを持っているだけの。

 

 

もうすぐ、ですね。

私の周りにはここ最近、

テンション高めの方が多いですが、

「好きな人が隣にいること」

それがどんなに幸せなことかを

かみしめてもらえたらと思います。

Fin.

紙飛行機 桜 に対する画像結果